パステルシリーズ

『ときめきアフタースクール』

徳間書店 1989年 文庫

【ストーリー】

女の子だけのバンドでキーボードを担当するユカは、サンドイッチ屋で知り合った男の子・松尾くんと仲良くなり、彼を通じて仲間の大切さ、音楽の持つ感動に目覚めてゆく。藤原征矢、記念すべき処女作品。イラストは漫画家の川名香津美さん。

『恋のトップスピン』

徳間書店 1989年 文庫

【ストーリー】

 テニス部のさつきは、あこがれの神田コーチの下で練習に励む日々。ところがそこに、アメリカ帰りでめちゃくちゃテニスが強く、カッコいいけど性格は超わがままという同級生の陣内純が現れて、恋の三角関係に。

『魔法使いがくれた夢』

徳間書店 1989年 文庫

【ストーリー】

田園都市線に住む佳香は、渋カジの大好きな普通の女の子。ところが黒魔術が好きな友達に教えられるままに唱えた呪文で、美少年の悪魔・リンキンを呼び出してしまい、ついには彼とともに、人類を支配しようとする魔王の陰謀と戦うことに。

【作品解説】

以上の三作品は、いずれも徳間書店『パステル文庫』シリーズの作品。
最初の『ときめきアフタースクール』は、持ち込み原稿を読んでくれていた女性編集者のTさんが、折からの少女小説ブームで少女向け文庫の創設に関わることなり、「きみ、書いてみない」と声を掛けてくれ、書いたものだ。
なにせこっちは男子中・男子高・大学入ってもクラスに一人も女の子がいなかったという経歴なので、「少女向け書いて」と言われたときはぶっ飛んだが、「これ断ったら次はないな」と思い、必死で書いた記憶がある。
書いた側は当然、自信ゼロだったが、どういうわけか気に入ってもらえ、晴れて作家デビューとなったのだった。
若書きの上に少女向けとあって、今となっては読み返すにも勇気がいるほどだが、そんな作品でも「おもしろい」と言ってくれた人たちがいて、それが今に至るまで物書きを続ける力になっていたりする。
藤原征矢というペンネームも、その時Tさんと一緒に考えてつけたものだ。
その後Tさんは結婚して他社に移ったのだが、若くして病気で亡くなられてしまった。
心からご冥福をお祈りします。